2007年10月17日

Posted by art of tida
at 16:41
Comments(3)

愛しゃ宮古島・宮古ひと

サシバの渡り

島に住んでいると、ある日突然、季節が変わるのがわかります。
そのひとつが、風向き。

湿った暖かな南風がぱったり止んで、
一週間ほど前から「ミーニシ」(北風)が吹き始めた宮古島。

「毎年、この風にのって渡ってくるサシバの群れを
一目見てみたい」

そして待ちに待った休日の夕方、
久松の丘の上で、車のエンジンを切り、
ゆっくりと傾く夕陽に照らされる海を眺めながら
じっと待ちました。
あたりは海風の音、遠くで岸を洗う波の音だけ。

と、はるか天上から

「ピーーーーーーィッ」

サシバの渡り
(写真は本文と関係ありません^^;)


来たっ!サシバだ。

空高く、20羽くらいの群れが陸側(東)からやってきて、
頭上でゆったりと弧を描きはじめました。

右回りするもの、左回りするもの、
長旅の末にやっとたどり着いた今夜の宿が
嬉しくて仕方ないのでしょうか。

その舞いを振り仰いでいるだけで、
目頭がじーんと熱くなってくる。

(サシバと秋の渡りについては、こちらにいい記事がありましたので
ご参考に)

サシバの渡り
(写真は、伊良部島の『フナウサギバナタ』(船を見送る岬)展望台でした)


最初の一群が、トゥリバー方面に飛んで行き、
それぞれの止まり木を見つけたころ、
また別の一群が飛んできて、舞い始める。

彼らは一晩だけここで休んで、
翌日の明け方には次の中継点、八重山に向けて飛び発つのだとか。

今年の渡りのピークはすでに先週末だったそうで、
この日は100羽あまりでしたが、
感動するには充分でした。

昔は一日に数万羽の時代があり、
今でもピークの日は数千羽になるという。

その時はあの舞いが「タカ柱」になるんだ。
それをいつか、この場所で見たいなぁ。


サシバだけでなく、本土からあらゆる渡り鳥が
立ち寄っていく宮古島ですが、
その数が年々、目に見えて減っているのは
とても残念なことです。

サシバの数が減っている以上に、
彼らの「一宿一飯」を提供するはずの
この島の「森」が減ってしまった。

現に、この日も、もう間もなく陽が落ちようとしているのに、
人間たちや車が彼らには良く見え警戒するのでしょう、
なかなか降り立つ木が見つからずにいつまでも舞っている姿は
とても切なく、思わず「ごめんね。。。」と言いながら見守りました。

サシバの渡り
(これは2004年の秋、台風14号の後に訪れたときの写真。
羽の付け根が剥がれて痛々しい)


近くで一緒に空を眺めていた60代の
(いかにも農家ではなく平良の街なか出身という風情の)ご婦人との
こんな会話が印象的でした。

「(生まれてから)ずっと宮古にいるのに
サシバが渡ってくるのを、まだ見たことがないよー」

「えっ?
市内育ちの人でも、昔はよく見えたでしょう?

『子供の頃に運動会の練習をしていると、誰かがあっ!
と言って空を指差すと、みるみる空が真っ黒になるほどのサシバが
東から西の海に向けて飛んでいくのが見えた』

とか、、ウソのような昔話、よく聞きますよ。
翌日は必ず“タカジューシー”でご馳走だった、って」

「昔は、獲ってきたものにしか関心がなかったからねぇ。
飛んでいる姿は覚えていないのかもしれないね。

生け捕りしたサシバの足に紐をくくりつけて、
その先に下駄をぶら下げて飛ばして遊んで、
それから食べたよー。

今思うとひどいねぇ」

でも、今は、こうしてわざわざ街から車でやってきて
タカの渡る姿を見て感動しているのだから、
(食べる心配をしなくてもいい)豊かな世の中になったのだね、と。














Facebook
同じカテゴリー(愛しゃ宮古島・宮古ひと)の記事
さよならおふくろ亭
さよならおふくろ亭(2012-11-29 11:46)

ご報告
ご報告(2012-10-31 17:18)

里親募集
里親募集(2012-08-31 19:09)

台風あとも健気に
台風あとも健気に(2012-08-29 18:30)

梅雨明け
梅雨明け(2012-06-23 13:54)

招かれざる客
招かれざる客(2012-06-14 14:40)





この記事へのコメント

のひなひろしさんのオリジナルに「さしば飛んだか」と
いう歌がありますね。
いい曲です。ブログ読んでいて頭の中でプレイバック
されました。
シメの歌詞は 「♪ふるさとは~みやこ~♪」
私はこのところすっかりミヤコシックです。。。

Posted by ワンダランド at 2007年10月17日 17:29

小さい頃は、運動会の練習中に空が真っ黒になるんじゃないか・・というくらいのサシバを見る事ができました。
隣の家の庭で縄で繋がれたサシバも、見慣れた風景。食べた、記憶は無いけれど知らないうちに食卓に・・・と言う事はあるかも。

もうあの頃のサシバの大群を見れないとおもうと、ゆりさんのようにゴメンネ、と言わずにはおれません。
たくさんの物であふれた生活。確かに色んな面で豊かになりました。
さて、私たちの心は・・・

Posted by まさぼん at 2007年10月18日 00:19

★ワンダランドさん

サシバのように、
ふるさと宮古に飛んでおいで~^^

★まさぼんさん

えー!?
私よりずっと若いまさぼんさんにも
そんな記憶があるんですか。
ということは、宮古のいろんな変化は
ごくごく最近のことなんですねぇ。。。

Posted by ゆり@宮古島 at 2007年10月18日 18:24
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

pagetop▲